銀鳩[Hello,knockin!!]


「それ、この間生まれた鳩か?」
「そうだけど」
 鳩小屋の掃除をしている時に、新一がやって来た。反射的に思わず雛を隠すようにすれば、すぐさま気づいた新一はむっとしたように身体を割り込ませてくる。
「何だよ。オレにも見せろよ」
「いーやーでーすー」
「減るもんじゃねぇだろ。つか何だよその態度」
「うちのかわいこちゃん達が怖がるから、ドスのきいた声出すの止めてもらえますー?」
「オメーが素直に見せりゃいい話だろうがよ」
 そもそも何でそんなに鳩が見たいんだ。日頃は気にも留めない癖して。
 いや、別に見たいわけじゃなくて、オレが隠そうとしたのが悪いのか。でもそれだって純粋な飼い主心というものだ。オレはオレの育てた鳩がみんな可愛い。
「ほら見せろって」
「……うっせえなぁ!」
 根負けしたのはオレの方だった。早く掃除を終わらせて部屋でごろごろしたいというのに、とんだ邪魔が入ったものだ。
基本的にオレは新一が好きだけど、稀に同じぐらいには鬱陶しいと思うこともある。人間だれしもそうだろう。
「ほらよ」
「最初からそうやって素直に見せろよな」
 新一はふんと鼻息を漏らす。見せてもらっている立場だというのにえらそうな奴だ。
「お、すげぇ。前と全然違うな。ちゃんと鳩らしいっつーか」
「元から鳩だっつの」
「でもこの前はこうじゃなかったろ。毛も全然生えてなかったしさ。本当にあれって」
「いいか新一。オレは自分の鳩が可愛い。そりゃもう可愛い。だからまた余計なこと言ってみろ。おまえのベッドに今集めた鳩の糞全部ぶち込んでやるからな」
「……オメーは小学生か?」
 心底から呆れたように新一は言ったが、さすが幼馴染だけあってオレの本気具合もわかっていたのだろう。口を閉じて、また鳩小屋に目を向けた。そこには数週間前に生まれたばかりの二羽の雛がいる。
 今でこそ全身がやっと白い毛に覆われ始めて、これぞ銀鳩と言うべき見た目をしているが、生まれたばかりの雛はそうではない。毛の生えていない身体は、お世辞にも可愛いと言えたものではないが、それにしたって新一のもらした一言はひどかった。ひど過ぎた。
『こいつ、からっとあげたら唐揚げみたくなりそうだな』
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「Hopping Love Hour」に入り切らなかった小ネタ3本収録。快新+@でわいわいしています。
工藤さんが無神経だったり黒羽が悩んでいたり、盗一さんのことが好きすぎる新一だったり。

...12.08.15